令和8年度診療報酬改定の内容が段々と明らかになってきました。今回はクリニックに該当する主な改定内容を解説します。
<全体評価>
今回の診療報酬改定のうち、ほとんどのクリニックに関わる点数の増減をピックアップしてみます。
※ベースアップ評価料(Ⅰ)を前回改定から継続して算定、院外処方、電子処方箋あり、マイナ保険証利用率60%の前提
| 初診 | 再診 | |
| 初診料・再診料 | 0 | 1 |
| 物価対応料(令和8年度) | 2 | 2 |
| ベースアップ評価料(Ⅰ) | 17 | 4 |
| 一般名処方加算 | -2 | -2 |
| 医療DX関連・明細書 | -3 | 0.7 |
| 差分の合計点数 | 14 | 5.7 |
今回は物価上昇に対応するための物価対応料が新設されましたが、一般名処方加算の減算で相殺されてしまっています。そのためベースアップ評価料による増加分しか点数アップにつながっていません。ベースアップ評価料は全てスタッフに配分することになっていますから、純粋にクリニックの売上に関わる部分は上がっていません。物価上昇に伴う仕入れ額の高騰は、ベースアップ評価料を除いた売上で賄わないといけませんから、クリニックの利益は物価上昇分減少すると言わざるを得ません。
<ベースアップ評価料>
今回の改定の目玉はベースアップ評価料の大幅アップです。
ポイントは、既にベースアップ評価料を届出しているクリニックと、今回新しく届出をするクリニックで点数が違うところです。既に届出をしているクリニックでは、今までの点数に加えて今回の新しい点数が上乗せできます。
また令和9年度は上乗せの点数が令和8年度の2倍になりますので、算定を続けているだけでスタッフの賃金を上げていく原資とすることができます。
外来の初診・再診でも大幅な点数アップが期待できますが、訪問診療時の点数アップが更に大きくなっています。同一建物以外への訪問診療ですと、令和8年度は107点、令和9年度は186点(継続的賃上げ実施施設の場合)が算定できます。そのため訪問診療を行っている場合は今回の点数アップの機会を逃さないようにしてください。
ちなみに新しいベースアップ評価料の算定は令和8年6月からですが、令和7年12月~令和8年5月については、昨年末に国会で可決された補正予算に基づき、各都道府県から賃上げのための補助金による賃上げが実施できます。6月を待たずに賃上げが実施できますのでこちらも併せてご利用ください。
<健診等と保険診療の受診>
健診等(健康診断・検診・予防接種)と同日に保険診療を算定する場合は、初診料・再診料が算定できなことが明確化されました。これは前からルールがあったのですが運用がグレーになっていて、クリニックによって運用がバラバラだったものが、明確化されたものです。
初診料・再診料が算定できないのは、あくまで健診等に関する疾病についての保険診療であり、直接関係のない疾病での保険診療では、初診料・再診料は算定可能です。例としては、特定健診と整形外科の保険診療を同日に実施した場合などです。
また同日の受診でも別受診で実施する場合は、再診料のみ算定できるようです。ただ「同日に1回の受診」と「同日別受診」の違いがはっきりしませんので、それは今後の疑義解釈待ちとなります。
<在宅医療>
今回は在宅医療で大きな改定がありました。
まず、連携型の機能強化型在宅療養支援診療所では、普段から訪問診療を行っている医師が月4回以上、24時間往診体制に入っていないといけなくなりました。また、全ての在宅療養支援診療所で、24時間体制に入る往診医は事前に患者さんに氏名を提供していなければならず、訪問診療を行っている医師と事前に面談し診療方針を共有していなくてはならなくなりました。往診体制を主治医が行っている場合は問題ないのですが、外部委託している場合には注意が必要になりました。
そして在医総管・施設総管について、月2回以上訪問診療を行っている患者のうち、①別に厚労大臣が定める状態の患者(別表8の2)、②包括的支援加算を算定している患者(別表8の3)、③在宅がん医療総合診療料を算定している患者、の合計が20%以上という基準が設けられました。これは漫然と月2回の訪問診療を行っていることは許されず、月2回の訪問診療を行うような患者は重症患者である必要があり、軽症の場合は月1回の訪問診療への移行を促す、厚労省の方針の表れであり、今後この割合が高くなっていくことも予想されます。
<心不全再入院予防管理料の新設>
今回新設されたのが心不全再入院予防管理料です。クリニックは心不全再入院予防管理料3が届出できます。これは慢性心不全の患者が急性増悪で入院し、その後退院してきた患者を通院でフォローした時に算定できる点数です。
施設基準として専任の医師や看護師が求められるだけでなく、心不全再入院予防管理料1または2を届け出ている病院での研修会に参加する必要があります。また算定要件として、入院していた病院で心不全再入院予防管理料1または2を算定していた患者に限られるとされています。
いずれにしろ自院だけで完結できる点数ではなく、病院との連携によって届出できる点数になっています。普段から連携を取っている病院に、心不全再入院予防管理料1または2を届け出る予定かを確認し、早めに連携を取ることをお勧めします。
以上が今回の診療報酬改定で、クリニックが該当する大きな改定内容です。
貴院の該当部分について適切に把握し、対応することをお勧めします。
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