病院コラム⑦<いよいよ来た中小病院の後継者問題決断のとき>

令和元年5月13日に新宿にて「東京都保健医療計画説明会」が行われた。かなり多くの都内の病院関係者が参加されたと聞いているが、参加したある病院の理事長からは、決まっていない話ばかりで残念だったと感想を述べられていた。

 

この中での話は、東京都は人口が増えていて、高齢者も増え続けているので、医療需要の増加を勘案し、基準病床の見直しが必要だということと、東京都の実情に合った病床配分方法の検討が必要だということでした。

 

令和元年度は、病床配分を見送りし、令和2年度当初に新基準病床数を公表して、病床配分の希望を受付けるとのこと。

 

そこで、病床機能を配分するにあたり「急性期」と「回復期」を分ける定量的な基準を設けて行きたいとのこと。何でも、厚生労働省は都道府県が地域の実情に応じて検討していくように言っているので、東京都としては、例えば「全身麻酔又は化学療法を1年間に1回(日)以上実施しているか否か」を基準として満たしたところは高度急性期もしくは急性期で満たさないものは回復期というものらしい。思ってもいない例示であって驚いた。

 

あわせて、平成31年4月26日付けで都内の病院開設者宛てに東京都福祉保健局医療政策部長が「病床が全て稼働していない病棟等を有する医療機関における病床稼働について」という文面も配布資料の中にあり、いわゆる非稼働病棟及び非稼働病床を2020年3月末までに解消して欲しいことと、できない場合には非稼働病床の「具体的対応方針」(スケジュール、医療従事者の確保策、資金調達など)を提出しないとならない。出来ないのであれば、「地域医療構想会議」に出席し、稼働していない理由と今後の運用見通しに関する計画について説明をしてくださいとのこと。

 

弊社の顧問先にも稼働していない病床を持つ病院もあり、保健所の立入り検査の時にだけベッドが配置されるということも現実あります。そもそも建て替えないと現在の病床数が収まらなくなってしまった病院や、看護スタッフ不足で開けられない病棟を持つところもあります。病床を返上することはあってはならないことと長く考えていましたが、いよいよ強烈なプレッシャーがかけられてきたなと感じます。建て替え計画中の顧問先も多くあるが、理事長が果たして10億円を超える借金を20年かけて返せる年齢なのかという問題と、20年先の医療業界がまったく見えない不安とで、二の足を踏んでいる現状にある。いまであれば無借金経営で運営できているし、多少なりともM&Aで法人を買ってもらえるところがあれば老後の資金には十分であろう。

 

最後は跡取りの問題になると思われる。身内であろうが無かろうが、その病院を継いでくれる医師がいてくれるかどうかにかかっています。地域での生き残り方はいろいろな手を打つことができますが、今後20年やってもらえる後継者がいないと将来が語れません。これまで、後継者問題に目をそらしてきた病院経営者はそろそろ決断しなければならないときがきたのではないでしょうか。