新規開業コラムの9回目は新規開業時の「在宅医療の立ち上げ」の続編「在宅医療の訪問先開拓」がテーマです。前編では在宅医療をメインに据えての新規開業として3つの方針を示しました。今回は訪問診療の訪問先開拓につきましてまとめてみました。
「居宅(自宅)」は前編では「自宅療養のご利用者の情報はケアマネジャーが握っています。つまり、ケアマネジャーから紹介頂くルート確保が必要になります」と記載しました。ケアマネジャーが所属している居宅介護支援事業所(以下「事業所」)への営業活動が必要です。具体的にはクリニックの案内書を作成し、定期的に事業者へ訪問をしていきながら連携を構築していきます。案内書の内容は、
➀訪問診療(24時間対応)のご案内
②訪問診療の対象患者様(様々な理由で通院困難な方々について)
③可能な医療処置
④対応地域
⑤費用(標準的な月2回診察した場合の1割負担料金)
※介護保険(居宅療養管理指導料)を入れる場合もございます。
⑥訪問診療開始までの流れ
を入れて作成します。
また、「在宅連携勉強会」を開催することにより事業所との連携が取りやすくなります。テーマは多数ありますが、先生のご専門から選定すると良いです。今まで弊社お客様(クリニック)が行いました実例は下記の通りです。
「在宅末期における医療・介護の連携」
「高齢者医療の注意点」
「在宅における褥瘡管理について」
「在宅における疼痛緩和について」
「在宅患者における認知症」
「お看取りについて」
「誤燕性肺炎と急性感染性胃腸炎について」
在宅連携勉強会の開催には、勉強会の案内状を作成し、その地域の事業所へご案内します。この勉強会を定期的に開催することで事業所と連携関係を築き、そこから患者さんをご紹介して頂きます。これが居宅(自宅)の訪問先開拓となります。
「居住系施設(有料老人ホーム・サ高住・グループホーム等)」へのアプローチですが、そもそも居住系施設の運営は民間企業が行っています。そのため組織により協力医療機関を決める決定ルートが違います。大手施設は本社または現場施設長に一任されていたり、中堅小規模ですと運営本部が決めたりと様々のようです。上記へ営業活動として菓子折りを持って定期訪問している医療機関もあるようです。
今回は私の実例ですが2例ほど紹介させて頂きます。
1例目は最大手の運営会社Aです。ここでは関東本部の責任者および各施設長を統括している統括マネジャーにアプローチして責任者と統括マネジャーを押さえることが出来ました。それに伴い、既存施設の協力医療機関変更時、新築施設の開設時期などに合わせて、弊社のお客様(在宅クリニック)を推薦しました。それをご縁に各施設の協力医療機関として訪問診療をすることができ、新規開業時から売上を上げることが出来ました。
2例目としては、中堅運営会社Bです。ここは、私の顧問先として医療・介護連携のアドバイスをしていたので、Bの社長を押さえ、A同様に既存施設の協力医療機関変更時、新築施設の開設時に推薦することができ、売上を上げることが出来ました。
結論としては、紹介を待っているだけではなくて、企業で行っているような営業活動を行い、決定権者を見つけ、人間関係を構築することが訪問先開拓にも必要になってきます。