新規開業コラム⑤<スタッフ雇用>

新規開業コラムの5回目は「スタッフ雇用」となります。ほとんどのクリニックでの開業後の課題は「求人・雇用・定着・退職」になります。そこで開業準備の期間に求人のために何をすべきか。それは有能で信用出来るスタッフ(看護師・医療事務)にあたりをつけること。新規開業時はご存じのように募集を出したら、そこそこ応募は来ます。それは新規立ち上げだと既存クリニックのように、決まったルーティンやお局様がいないこと等、自分たちが一から作れる、やりがいがある事も応募の多い要因の1つです。開業して時間が経過すると段々と募集をかけても応募が来なくなります。資格者である看護師、理学療法士だけでなく、医療事務もなかなか応募がありません。

 

そこで、1つ目「応募が多数あり選択肢を広げることが出来る」状態を作るためには、当初から雇用に関する諸条件・就業規則などを整備し、開業後も継続して修正を掛けていくことが大切です。その内容は、⒈給与 ⒉社会保険 ⒊退職金 ⒋賞与、⒌有給休暇付与 ⒍時間外規定などを準備し、そして継続しながらVersionアップしていくことです。クリニックの人事・労務は一昔前までは取り決めが不明確、雇用契約書等の書面もないようなクリニックが多数あり、それでも成り立っていました。しかし、現在は雇用側の権利が拡大し「働き方改革」「有給休暇付与」「同一労働同一賃金」などの制度改革も伴い、世の中が急激に変わってきました。つまり、各クリニックは自院の1~6を明確にし、スタッフに書面で見せる、渡せる状態に整備していくことが重要です。

 

2つ目「雇用」について、明確に雇用条件が記載されている「雇用契約書」を準備し、入職時に渡すこと。通常のステップは応募→面接→合否通達→内定承諾書→入職→雇用契約書→研修という流れですが、段取りよく進めていくことが重要です。特に医療機関に入職されるスタッフは「安定性」「将来性」を求めています。「安定性」とは社会保険、昇給、休暇が整備されている所。「将来性」とは地域で長期間勤務できる医療機関かどうかという所がとても重要です。

 

3つ目「定着」については、院長先生とスタッフの相性になるかもしれません。最近の傾向は、入職後に短期間で退職する資格者が多いことです。紹介会社を通じて最近入職したケースですと「やる気が感じない」「資格内容の業務が出来ない」など様々な理由でクリニックから紹介会社へ相談をする場合(本人の退職意思は無し)は、紹介料の返金問題のトラブルが横行しています。このようにやっとの思いで入職して貰っても定着しない、返金問題など起こさないために、採用面接方法などの工夫、教育を特定スタッフのみに丸投げしない。そして院長先生が看護師、医療事務の業務内容を理解し(特に医療事務の理解不足のトラブルが多いようです)、全体ミーティングと個人面談を実施して問題・課題を早く発見・対処していくことが必要になります。