新規開業コラム④<診療科目による特徴(内科・消化器内科・外科)>

今回は診療科目でまとめてみたいと思います。当たり前ですが、新規開業する科目の中で一番多いのは間違いなく「内科系」です。「内科系」とは、本コラムでは循環器内科・消化器内科・呼吸器内科・糖尿病内科などの内科と、循環器外科・消化器外科・呼吸器外科などの外科の先生が新規開業する場合を、ここでは「内科系=内科全般」と呼ばせて頂きます。それは内科・外科を含めますから他科目の倍以上の医師が開業していますし、競合も他科よりも多いと思います。また、医療ビル等で企画する調剤薬局の入居希望も処方枚数の問題で「内科系」が一番になります。

 

内科系の新規開業で一番多い診療科目は「消化器科・消化器内科」です。ほとんどの先生が上部内視鏡、下部内視鏡を大きな柱として開業準備を進めています。この消化器科のクリニックにも新規開業の際に2つの特徴があります。1つは上部内視鏡・下部内視鏡検査に特化し、一般患者(急性疾患=かぜ・インフルエンザなど、慢性疾患=生活習慣病など)を診療しないクリニックです。内視鏡検査は全て予約制であり、2ヶ月~3か月先まで予約待ちの所もあります。このようなクリニックは比較的「駅前立地」が多く、新患(初めての来院患者)の集客のためにネットを駆使し、ホームページ、リスティング広告、SEO対策、ポータブルサイト、WEB問診など多くの手を打っています。

 

2つ目は上部内視鏡・下部内視鏡検査を柱としている所は同じですが、一般患者(急性疾患=かぜ・インフルエンザなど、慢性疾患=生活習慣病など)も診療するクリニックです。内視鏡検査は予約制ですが、一般患者は予約制ではありません。弊社クライアントの1つのケースでは、新患が月100人以上、月内視鏡検査150件、月特定疾患療養管理料算定者が全患者の55%以上いきますと、月の収入も1000万円を超えてくるようです。立地としては、「駅前立地」も多いですが、最寄り駅から少し離れた郊外型というケースもございます。その場合には20台~30台以上の駐車場が必要になります。

 

このクリニックの開業準備は、➀医療機器(内視鏡)の投資 ②内視鏡検査も踏まえたレイアウトの工夫 ③内視鏡検査の経験のある看護師雇用が重要となります。まず、➀上部・下部の内視鏡ファイバー何本購入するかは自己資金と借入額を含めた事業計画上の総投資額で決めていく必要があります。購入またはリース(又は割賦)にしても初期投資額に無理のないように進めていく事が肝要です。②で重要なことはテナントの広さ、大腸検査のトイレの数、検査後リカバリー室の広さの確保などが重要になってきています。そして③は内視鏡検査の経験のある看護師の雇用。これは内視鏡検査件数にも比例してきますし、開業後看護師が定着していないと安心して内視鏡検査が出来ないという意味では大変な事です。一般求人媒体で応募があれば良いのですが、困難な場合にはあらゆる知人医師・看護師からの紹介も必要になってきます。そして開業後、看護師の入退職により院長先生は一喜一憂となってきますので、スタッフの継続勤務してもらうための環境整備はしていきましょう。この件につきましては別コラムにて解説させて頂きます。