新規開業コラム③<金融機関の融資>

開業場所選定、事業計画の作成の次は「金融機関の融資」となります。まず、金融機関の融資を進めるにあたり、前提条件として、ごく普通にご勤務されている医師でしたら、診療科目による投資額の高低はあるかもしれませんが、都市銀行、地方銀行、信用金庫、公的金融機関の融資は、それほど大きな問題はないと思われます。それでは、ごく普通にご勤務されている医師とは、どのような方かと言いますと、下記のような方となります。
「多額の借金がない」「健康である」「多少の自己資金を貯めている」という事です。
当たり前の話ですが、金融機関は融資にあたり、融資申込者である医師をインターネットも活用して事細かく調べます。その視点で重要なことは下記となります。

1.多額借入の有無。
2.クレジットカードの遅延歴の有無。
3.転職歴の多さ(転職が多いと印象が悪い)
4.医師の病歴(団体信用生命保険加入の可否)
5.インターネットでの医師情報(医療過誤・医療事故・その他の情報)

など、上記の内容が融資を進める上で重要になってきます。特に命取りになるのは「1.多額借金の有無」です。新規開業のための事業融資を進めるにあたり、自宅購入の借金はまだ許されるのですが(但し、金額の限度にもよります)、多額の不動産投資等による借金がありますと、都市銀行、地方銀行、信用金庫も含めた民間金融機関はもちろん、公的金融機関の融資も難しいと思われます。弊社がお付き合いしている複数の税理士、会計士の見解とも一致しました。また、上記1~5はリース契約時にも影響があります。つまり、金融機関全般の実行が難しいという事です。
当たり前の話ですが、近未来に新規開業される予定の医師は、多額の借金をしない、クレジットの支払いを一度も遅延しない等(ブラックリストに載らない事)、金融機関への信用を損なわないようにする必要があります。もし病歴などがありましたら早めに相談をし、団体信用生命保険に加入できなければ、通常の生命保険で対応が可能かどうかの確認をする事が必要です。
但し3.4は不可抗力の要素もありますので、切り抜ける事は出来るかもしれませんが、1.2.5の要素がある医師は開業資金を潤沢に準備して頂く必要があります。この事が出来ないようでしたら、開業自体を諦められた方が良いかもしれません。病院又は診療所の勤務医という選択肢も1つという事です。
次回は新規開業の科目別の課題を取り上げさせて頂きます。