診療所コラム⑫<整形外科コラムNo.5>

前回から大分時間が空いてしまいましたが、今回は前回の続き、PTが集まる整形外科クリニックではどんなことをやっているのかをお伝えしようと思います。

 

1.情報交換・コミュニケーションが活発

PTが集まりやすいクリニックの特徴として、リハビリ室が明るく楽しそうな雰囲気であることが挙げれられます。具体的にはPTが黙々とリハビリを行うのではなく、PT・患者間で、PT同士で、PT・医師間で、コミュニケーションを取っているということです。

 

PTは国家資格でありリハビリの専門家なので、職人気質であることが多いように感じます。自分の腕に専門家として自信を持つ一方で、技術は自分で極めるもので他人に気安く教えてもらうものではないという考えを持っていることもあります。既にベテランのPTでしたらそれで良いのかもしれませんが、仕事を通じてスキルアップを考えているPTにとっては、風通しの悪い息苦しい職場に映ってしまいます。

 

院長やリハビリ長が自ら率先して、コミュニケーションの壁を取り払っていきましょう。PTには、スポーツ整形が得意な人、お年寄りの維持期リハビリが得意な人、集団療法が得意な人等、それぞれの得意な分野があります。院長やリハビリ長が、PTそれぞれの得意分野を把握して、休み時間にお互いの技術を教え合うような雰囲気をつくっていけると、職場が活性化しますし、PTの技術力が向上します。また院長先生が整形外科疾患についての勉強会を開いてあげるのも、PTのモチベーション向上に繋がります。逆に個々の患者さんのリハビリ状況について、PTから医師へフィードバックをしてもらう機会を設けるのも良く、先生がPTからリハビリについて学ぶ機会にもなります。

 

リハビリ室が明るい雰囲気になってくると、自然とPT・患者間でのコミュニケーションも活発になり、患者満足度向上に繋がります。たとえピンポイントの治療を受けていたとしても、黙々とリハビリを受けるよりは、途中経過を知りながらPTとやり取りをしてリハビリをする方が、患者さんに通ってもらいやすくなります。

 

2.様々なリハビリプログラムを展開している

そもそもある程度人数のPTが集まらないとできないことですが、疾患別リハビリ以外にも、通所リハビリや訪問リハビリなど、様々な種類のリハビリを展開していると、どんどんPTが集まってくる傾向にあります。

 

疾患別リハビリで1対1のリハビリと、通所リハビリで1対多のリハビリ、訪問リハビリで生活に密着したリハビリでは、求められる技能が全然違います。ある整形外科クリニックでは、フィットネスジムでのリハビリ経験のあるPTが、通所リハビリで中心的な役割を担うようになったということがありました。PTそれぞれが得意分野を活かした業務に従事できるように、様々なリハビリを展開しておくと従業員満足度が向上します。また時々違うリハビリに従事することによって、マンネリ化防止にもなります。

 

3.PTの人脈をフル活用

PTのような専門職は、一般に募集してもなかなか集まりづらく、紹介会社を頼らざるを得ないことも珍しくありません。そのため現在在籍しているPTから、前の職場の仲間や学生時代の仲間をご紹介してもらい、採用に至ったケースをよく目にします。その場合、報奨金制度を作り、インセンティブを与えて、積極的な声掛けを促してあげると良いです。紹介での採用は、事前に紹介者から様々な情報が聞けるので、採用後にトラブルになりにくいということもあります。

 

PTの中には親分肌の人がいることもあり、そのような人がSNSを通じてPT募集を呼び掛けてもらうと、より効率の良い情報拡散ができます。

 

以上のことを参考にしていただき、PTの募集を展開してもらえたらと思います。

 

整形外科においてPTの数は、算定できる点数(=単価)においても、患者数においても、売上向上に直結します。

 

ぜひ、質の良いPTが長く勤めてもらえるようなクリニックを目指してください。目指すは新卒のPTでもイチから教育できるプログラムを持ち、指導できるPTが在籍しているクリニックです。これが実現できるとどんなPTが入職しても自院で育成できるので、最強の整形外科になることができます。