病院コラム⑨<リハビリテーション部門の単位数管理>

中小病院のいろいろな部署の職員さんと面談する機会があって、それぞれに同じような話をするのですが、たまに病院によって大きく温度差を感じることがあります。同じ診療報酬のルールに則って仕事をしているので、捉えるべき数字は同じはずなのに、きっちりと数字で管理されている病院と、全く数字管理がされていないところがあります。特に印象強いのは「リハビリテーション部門」です。疾患別リハビリテーション料は「1単位を20分とする」、「実施単位数は従事者1人につき1日18単位を標準とし、週108単位までとする。ただし、1日24単位を上限とする。」という診療報酬上の算定ルールが有ります。そもそもこのルールに則り、上限数字を超えないように日頃から管理していないと厚生局の適時調査の際に指導されてしまうものですが、リハビリを施行した患者名が書かれている日報はあるのにそれを集計した管理表がない病院もありました。

 

意識の高い部署長がいる病院では、従事者(理学療法士等)の上限(週108単位)ほぼ100%近くまでリハビリを行ってしっかりと請求しています。一方、1日の目標数字を決めずに、毎日なんとなく患者へのリハビリのみを行っている病院のリハ部門は、ある月を集計してみると、上限と比較して70%の実施単位数でした。

 

少し前の話になるが、ある病院長から弊社に、リハビリ部門の体制強化を図りたいと依頼があり、リハビリ部門の現状ヒアリングを行った上で病院長へリハビリの単位数を増やすための業務改善提案を行いました。例えば、病棟でリハビリができるように「病棟リハスペース」を作ったり、看護部など他部署からの協力体制を組んだりしましたが、実施単位数がなかなか上がりませんでした。原因は、各人が使っている日報にありました。毎日、18人のリハビリをして欲しかったのですが、日報にある「枠」自体がそもそも14人分の枠しかなくそれを上限としていたのです。

 

1日18単位の目標を達成するに当たり、診療所のリハビリに比べれば、病院は、外来のリハビリ患者が急なキャンセルで来院されなかったとしても、入院患者へリハビリすることで単位数を補填できます。どの病院のリハビリ部門の方々はそう考えているものと思っていましたが、1日の目標数字の管理されていない病院さんの話を聞いたときは大変驚きました。

 

井の中の蛙ではないですが、自院のこれまでやってきていることが、正しいのか、またもっと効率を上げられないかなど、各部署の責任者は、他の病院のやり方を貪欲に吸収して、より成果を出せるにはどうすべきかを考えていかなければいけません。そのためには、学会など外部の研修会へどんどん参加して、新しい知見を増やしていくことが大事だと思います。