今回の新規開業コラムの10回目は「開業候補地」商業施設編となります。
以前6回目「開業候補地の家賃交渉」では、選定する開業場所種類として、
➀雑居ビル(他業種も入っている建物で開業)
➁居抜き(以前入居していた医療機関の内装・設備を利用して開業)
③医療モール(医療機関専門の建物で開票)
④事業承継(現在開業している医療機関を引き継ぐ)
⑤戸建て開業(自分で医療機関用の建物を建築して開業)という5種類の候補があると説明いたしましたが、今回はそこに⑥商業施設を追加して解説いたします。ここで言う商業施設とはデパート、ショッピングモールを指し、この中での開業を検討する場合のポイントを先生方に知って頂きたいと思います。
商業施設で開業する場合と、通常の雑居ビルや医療モールで開業する場合の違いについて解説いたします。
⑴工事区分における比較
・A工事:ビルの躯体部分、共用施設に関わる部分(オーナー負担)
・B工事:借主側の要望により、オーナーの権限で行う工事。建物全体に関わる部分(借主負担)。
・C工事:テナント内部の工事など、借主側が発注して行う内装工事(借主負担)。
1つ目のポイントとして、上記の通り一般的に借主はB工事+C工事を負担しますが、雑居ビルや医療モールでは、B工事が最小限に抑えられるケースがあります(オーナーの厚意によりB工事がないケースや、消防設備工事のみとなる場合もあります)。その反面、商業施設ですとB工事でオーナーが指定する施工業者が高額になるケースがあり、某内科クリニックでは35坪程の広さでB工事に800万円ほど予算がかかりました。
⑵商業施設における夜間工事
2つ目のポイントとして商業施設の場合、同階および他階テナントへ工事中の音などに配慮しなくてはならないため、夜間工事指定があります。その費用がC工事に上乗せとなり通常よりも内装工事費が高くなります。
⑶商業施設の別な経費
3つ目のポイントでは商業施設側がC工事を管理するために、「内装監理費」という経費が別途かかります(商業施設により金額はまちまちです)。
昨今は施工費自体が高騰していますが、それに加えて上記⑴~⑶がプラスされますと開業総投資額が高額となってしまいます。その中で少しでも経費を抑える方法として出店されるビルの諸条件情報を早めに入手し、事業計画の作成により総投資額を把握した上で出店判断することが肝要となります。