平成28年(2016年)4月には診療報酬改定が行われました。平成25年度(25年4月~26年3月末)の時に開業される医師の件数は、消費税に伴う駆け込み開業の影響で前年より件数が多くなりました。また別の視点で考えますと、「開業場所」を選ばれる際に開業希望医師から下記のようなご意見があります。
❶都内・都内近郊の駅前立地
❷開業場所までの通勤時間30分~60分以内
❸同科目の競合医院が少ない
❹同門・同科目開業医が少ない
❺居抜きテナント等の投資リスクの少ない場所
最近の新規開業イベントでは内科系医師の参加者が多く、他科目がやや少ないような感じがいたします。この事から、今後内科系医師の開業は苦戦するのではないかと思われます。❶~❺の条件全てが揃っている場所は現実的にあるのでしょうか。時間・労力をかければ出てくるのでしょうか。❶~❺は希望条件としては必要な事ですが、これら全ての条件を満たす所を探すと、開業自体が出来なくなってしまうでしょう。それよりも重要な要素があるのではないでしょうか。結論から申しますと医師が診察する外来需要がその地域にあるのか、ないのかという事です。つまり「医療テナントありき」ではなく、「外来需要ありき」の視点も必要だという事です。内科・整形外科であれば高齢者が多い地域かどうか、そして今後もその傾向が続いていくのか。小児科であれば若い世代の人口数、新興住宅地開発、大型マンション建設計画、保育園・幼稚園の数、近隣にある小児科専門医の医院数などにより検討していく必要があります。特に小児科の場合には0~5歳児の多い地域かで決まります。つまり「外来需要」のある場所。流行る可能性のある場所かどうかです。また流行る場所かどうかのポイントの1つとして、一般的な「円形診療圏調査」だけではなく、通院の障害となる鉄道沿線・国道・山・川など動線の影響を考慮した、「変形診療圏調査」で「外来需要予測」を確認する事も大事です。そして弊社診療圏調査では下記の事項がわかります。
A.1日の外来需要予測
B.年齢別地域需要予測(0歳~14歳・15歳~64歳・65歳以上)
C.将来推計
D.介護需要予測
この中で「A」の1日の外来需要は、人口数×外来受療率×科目別係数÷競合医療機関係数により算出したものです。この弊社診療圏調査による外来需要予測で、内科系であれば60人以上、整形外科であれば外科と合わせて90人以上、眼科は60人以上といった弊社なりの「ボーダーライン」をもって開業場所に適しているか否か、1つの判断材料にしております。次に「B」の年齢別地域需要予測では、開業予定地周辺の1k㎡当たりの人口を把握することができます。つまり対象となる年齢層方が地域にどのくらい住んでいるのかを確認できます。内科にとって重要となる65歳以上の人口数、小児科では0~14歳人口数、いわゆる「小児人口数」を調べていきます。
それにより対象となる年齢層がその地域にどれ位いるのかを把握する事が出来ます。
「A・B」では、現在の情報ですが、「C.将来推計」では、今後将来に向けて、対象となる年齢層が増加するのか、減少するのかを把握できます。「D」では介護が必要な方々が現在から将来どのくらい増えるのかを把握することを通じて、医療・在宅医療の必要性(在宅医療を実施されるかどうかは別として)が高い地域かどうかを判断できます。以上の通り弊社診療圏から開業場所として検討するに値する需要性をご判断していただけます。