診療所経営コラム②<9つの柱❶医療・介護行政の対応>

前回では経営の視点として、診療所経営も企業経営とそんなにかけ離れてはいない事、そして企業経営と同様の視点から、診療所経営にも「9つの柱」を取り入れていく必要があるという事を解説させて頂きました。今回は「9つの柱」の❶医療・介護行政対応について解説していきたいと思います。
まず、2年に一度の診療報酬改定により医療機関の収入が決まり、3年に一度の介護報酬改定により介護事業者、介護施設等の収入が決まります。ポイントは改定に伴い、自院にどのような影響があるのかという点です。減収となる場合、自院の傾向を分析し、それを何で補うかということです。
過去の例では、1996年(平成8年)に設定された老人慢性疾患外来総合診療料(以下外総診)が、2002年(平成14年)に廃止されました。この件について、出来高算定と外総診での包括算定点数を比較したところ、出来高算定では、院内処方でマイナス16%、院外処方マイナス40%となりました。全国で2万件、東京で3,200件の医療機関が影響を受けたと言われています。
対策を行った過去を振り返ってみますと、

⒈外総診が外された当時、それまで管理料に包括されていた検査を出来高にした場合の患者負担の比較を行い、対策を検討しました。
⒉生活習慣病管理料が新設された時には、今までの3ヶ月の実績を分析し管理料を算定した方がよいのか、出来高算定した方がよいのか判断しました。
⒊在宅医療では「在宅時医学総合管理料(以下在医総管)」についても、2014年(平成26年)の診療報酬改定に伴い、1/4に減収した診療所もありました。改定前の収入を維持するため医師、看護師配置、訪問スケジュールを工夫し、減収を最低限にする対策を実行致しました。
これから先においても、2016年(平成28年)の診療報酬改定では、維持期リハの介護保険への移行などの国の施策に伴い、整形外科では収入減が予測されます。診療報酬改定の都度、減収部分、増収部分が出てきます。医療・介護行政対応について大切なことは、減収、増収の2つの合計により自院の影響を細かく把握しなければなりません。診療報酬改定前に対策を定め、4月の改定に適切なスタートが切れることがベストです。
次回は「9つの柱❷」自院の現状分析⇒5つの切り口からみる、診療行為別医業収益の分析につきまして解説させて頂きます。