前回では経営の視点として、診療所経営も企業経営とそんなにかけ離れてはいない事、そして企業経営と同様の視点から、診療所経営にも「9つの柱」を取り入れていく必要があるという事を解説させて頂きました。今回は9つの柱❷の「自院の現状分析」について解説させて頂きたいと思います。9つの柱❶「医療・介護行政の対応」のおさらいをしますと、2年に一度の診療報酬改定により医療機関の収入が決まり、3年に一度の介護報酬改定により介護事業者、介護施設等の収入が決まります。ポイントは改定に伴い、自院にどのような影響があるのかという点です。減収となる場合、自院の傾向を分析し、それを何で補うかということでした。つまり自院の現状を把握していないと、「医療・介護行政の対応」が出来ません。それでは、自院の現状把握とはどの様な視点なのでしょうか。
結論から申しますと、1診療行為別分析、2診療単価分析、3レセプト単価分析、4患者アンケート調査、5自院「真の診療圏」調査が必要になります。一般的に会計事務所で作成している月次試算表(貸借対照表・損益計算書)では売上がまとめられてしまっているため売上の内訳がわからず、詳細な分析をすることが出来ません。そこで弊社の分析シート「診療行為別分析(表1)」ではレセプトデータから売上を初診料、再診料、医学管理料、在宅料、投薬料、注射料、処置料、手術料、検査料、画像料、その他の項目で分けることによって詳細な分析が可能となります。延べ患者数、レセプト枚数、医業収入、外来患数、通院回数等からの分析等もしております。
診療行為別分析で読み取れるものは、例えば、消化器科を標榜して内視鏡検査に力を入れているクリニックは「検査」の項目の全体に占める比率が高くなりますし、慢性期の患者が多く、特定疾患療養管理料(225点)を算定する患者が多ければ「医学管理」の項目が大きくなります。このように単なる売上の高低だけでなく、売上を構成する内訳について正確な項目把握、他院との比較、比較による課題を明確にしていく事が大切です。次回は自院の現状分析の「マーケティング分析」につきまして解説させて頂きます。ご期待ください。